山陰のブランド化

山陰のブランド化 「田村耕太郎」

格差社会と呼ばれるこの時代、地方はどう生きるか。
自らの力で這い上がるためにも、この山陰の付加価値をあげなければ・・・。
参議院議員として、また、鳥取県出身者として、山陰のブランド化について語る。

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政界随一のお洒落議員として知られ、 取材日当日も真っ赤な派手なスーツ姿で登場した田村耕太郎氏。格差社会のこの時代、地方生き残りをかけて山陰のブランド化について語る。  
 
ー全国的な景気回復のさなか、山陰地方の経済はその回復が遅れ
 ていると言われていますが、山陰の経済について田村さんはど
 ういう見方をされていますか。 
 
田村 中国地方というくくりで考えれば、山陽地方の造船、素材
 自動車産業のお陰で、中国地方の景気は良好と言えます。しか
 し、鳥取県、島根県だけ見ると残念ながら少しも良くなってい
 ない。これがいわば経済格差であり、山陰の現状です。
ーそれでは、その経済格差はどういった打開策で捕えるとお考え
 でしょうか。内閣府の前金融担当政務官として、田村さんの所
 見があればお聞かせ下さい。
 
田村 はい、大きく分けて私には二つのアイディアがあります。
 まず一つは地域金融の円滑化。これは、事業に際しての“融資”
 を見直すことで具体化できるでしょう。現状の担保や保証に頼
 らない融資が実現できれば良いと考えます。
  具体的に述べますと、つまり、事業を失敗したら家も財産も
 全て取られるといった不動産や有価証券などの担保ではなく、
 将来性のある在庫などを担保にして融資をしてもらうという“
 動産担保”の導入です。
  仮にそうなれば、事業を円滑に進めることができるという事
 業家の方が私の周囲にもたくさんいらっしゃいます。
  また、この動産担保によって金融市場自体の活性化が図れる
 ので、意図する金融の円滑化は明確だと考えるのです。
  動産担保に限らず、こういった金融のグローバル化、金融技
 術の進歩は、地域経済の格差を埋めるのにとても重要ではない
 でしょうか。
  そして、もう一つは、様々な地域事業を民間資本及び、民間
 主導で行うことの必要性です。
  今や世界では、国や自治体からの税金だけで地域事業を賄う
 という考え方、方法論が旧式のものになってきました。要する
 に、民間からの長期資金、低利資金で高速道路やトンネルを作
 ったり、港湾を整備したりする必要性です。
  現状、世界の発展している地域をみても地域金融を必ずしも
 税金だけで賄っているというわけではないのです。
  この取り組みは、実際にアメリカ、ヨーロッパの欧米諸国、
 韓国でも既に行われています。財政がやってきたような補助金
 や公共事業を民間の金融が主体となり、引導していくことが大
 切ではないかと考えます。
 
ーつまり、地域事業は、民間資金で行って経済が盛り上げる。そ
 れが地域格差の打開策であり、景気回復に繋がるものだと私達
 は積極的に受け止めていかねばならないということでしょうか
 
田村 その通りです。景気の回復、または安定には金融そのもの
 にその力があるということです。 
 
ーでは、今後、山陰の経済が飛躍していくために、何が重要であ
 ると田村さんは考えていらっしゃいますか? 
 
TAMURA_027.jpg田村 鳥取県で言いますと、 例えば豚肉やお酒、こんにゃくやちくわ等の在庫を担保にするといった動産担保融資、または、事業会社の将来性を担保にするといったスコアリングモデル融資という案が出ています。
  鳥取県は構造上、公共事業依存型となっていますので、建設業が栄えないとうまく繁栄しないという形になっています。
  一般的な案をあげますと、山陰道、米子空港の滑走路の延長
 JRの駅の整備等が上げられます。税金でする事業が増やせない
 のであれば、民間資金で行う地域金融を増やしていく必要性と
 製造業への融資等が重要課題ではないかと考えます。

 
ブランドへの到達に必要不可欠である、付加価値の売り込みを。  
 
—地方にとって今や、ブランドの構築はマーケティング戦略上、
 重要な手段だと見受けられます。田村さんのお気に入りのブ
 ランドはありますでしょうか。 
 
田村 はい、グッドヒルです(笑)。私は体形上ユニークです
 ので、オーダーメイドしか合いません。そうしたときにオー
 ダーメイドは価格のわりに品質が良いのが魅力です。生地は
 シルクなどの光沢系が好きです。あとはやはりネクタイには
 一番のこだわりをもっています。ブランドでいうと“エミリオ
 ・プッチ”、“デュ・シャン”等、誰が見てもそれしかないと分
 かる、デザイン的に明らかに他では真似のできない個性があ
 る物を好みます。
  時計や靴などは特にブランドにこだわってはいません。基
 本的に一目惚れです。 
 
—田村さんが思いつかれる「山陰のブランド」と言えば何でし
 ょうか? 
 
田村 そうですね、東京等のレストランで良く耳にするのは“大
 山地鶏”です。大山地鶏は今まさに旬なブランドだと私は思い
 ます。根付いているブランドで言えば“松葉ガニ”ですとか、大
 栄町の“スイカ”ですとか、砂丘の“らっきょう”等です。あとは
 三朝・皆生等の温泉や大山、砂丘、等が挙げられます。
 
—山陰のブランドは東京や大阪などの大都市圏、あるいは外国な
 どに対してどの程度届いているとお感じになられますか。
 
田村 正直言いますと、山陰には良いものがあるのにも関わらず
 都市圏などへのブランド到達度は残念ながら不十分と見受けら
 れます。
  商品自体は素晴らしい。ですが、戦略不足なのではないでし
 ょうか。イメージ・価格・流通チャンネルの三つを上手くミック
 スさせ、上手に売り込んでいく必要性があると考えます。
  例えば商品を売り込む時に、商品自体そのものを売り込むの
 ではなく、レストランなどの有名シェフに調理をしてもらい、
 料理名の中にブランド名を入れる等、そういった戦略が功を奏
 すのではないでしょうか。 
 
—では、山陰の企業がブランドを構築していこうとした時に、大
 切な心掛けというのはどういった点にあるとお考えになられま
 すか? 
 
田村 ブランド=信用なので、品質には徹底的にこだわる必要性TAMURA_031.jpg
 があると思います。また先 程も挙げましたように、イ
 メージのPR、価格、流通
 チャンネルなどでの売り込
 み、安いところでは流さ
 ず、そしてそれなりの場所
 で売っているとい う“なか
 なか手に入らない”というイ
 メージを作ることが必要で
 あると考えます。そういったことの積み重ねが重要ではないで
 しょうか。
  実際に、関サバや関アジと、鳥取県産のアジを実際に食べ比
 べて思うのですが、焼いても冷ましてもお寿司にしてもそんな
 に負けてないと感じます。そうした時にやはり、“イメージ作
 り”という戦略不足ではないかと感じます。また、ソフトパワ
 ーとして水木しげるさんや、青山剛昌さん、谷口次郎さんと
 いった方々がいらっしゃいます。こういった方々の“マンガ”と
 いうツールを上手く使い、話の中に登場させて頂いたり、もっ
 と上手にアピールをしていく事が重要だと考えます。
  山陰の商品等には潜在力というのは十分ありますので、それ
 をもっと活かしていく必要性があると思います。地産地消だけ
 でなく、地産他消にも目を向けていくべきではないでしょうか.
 そして山陰の人も、もっと図々しくなってもいいのではないか
 と思います。宮崎や沖縄の方は100の物を1000と言う潔さが
 ありますが、鳥取県の人は奥ゆかしいため、それを80、50と
 言ったりします。そうでなく、“こんなにも素晴らしいんです
 よ”、という事を、自信を持って強気で他県に対し、売り込ん
 でいってほしいと思います。

与野党問わず、政党を超え、法律・規則を作っていくスタイルへ。  
 
—田村さんが今、取り組んでおられます「頑張る地方応援プログ
 ラム」についてですが、政府の狙いというのはどういったとこ
 ろにあるとお考えになられますか。
田村 今までは財政・調整機能を果たすということだけを理念とし
 てもっていた交付税の配分方式に、成果方式を入れていきたい
 と考えます。本気で頑張る、そしてやる気のある、また、自発
 的に行動をする、そういった所にはより多くの交付税を出し、
 頑張って頂きたい、という考えです。 
—最後になりましたが、今後の政治活動についての豊富をお聞か
 せ下さい。 
田村 参議院の議席数が与野党で逆転し、面白い流れになってき
 ていると思います。今までは、霞ヶ関のお役人さんの書いた法
 律を通すのが我々の仕事だったのですが、そうではなく、政策
 をお互いが出し合い国民の目の前で議論をするというスタイル
 を取り入れていくような政治主導の政策論争の場に、参議院か
 ら変わっていくと思います。与野党を問わず、政党を超えて
 「これがやりたいんだ」という人材が集まり法律を作っていく.
 今ある規則を変えていき、予算を作っていく、そういった場に
 なっていくのではないか、と思います。

  (※記事は2007年8月4日の取材をもとに記載しています。)
 

田村耕太郎 たむらこうたろう
 
昭和38年鳥取市生まれ。
鳥取西高等学校
早稲田大学商学部卒業慶応義塾大学大学院修了
米国デューク大学大学院修了(法学修士)
米国エール大学大学院修了(経済学修士)
後、山一証券企業開発部
新日本海新聞社取締役編集長等を経、大阪日日新聞社社長就任。
自由民主党、平成研究会(津島派)所属、参議院議員(当選2回)